政幸

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相続法改正その3(預貯金の払戻し)

1 従来の考え方・取扱い  遺産相続が生じ、遺産分割請求として事件が家庭裁判所に調停あるいは審判という形で 係属した場合、民法427条により法律上当然に分割されるところの可分債権ということ で、遺産分割の対象とはならないという考え方(最高裁判決H16.4.20)  ただし、家庭裁判所の実務では、相続人間の合意がある場合に限って遺産分割の対象に なるとされてきました。  上記最高裁の考え方からすると、銀行などにある被相続人の預金は、相続人の法定相続 分に従って当然に分割されたことになるので(これを当然分割という)、各相続人は、自 分の相続分に相当する金銭を上記銀行から下ろせるはずです。  ところが、銀行などの金融機関の実務では、遺産分割協議書などの相続人全員の合意が なければ、預金の払戻しには応じない対応がとられていました。  ここに、裁判所と銀行などの金融機関との間に齟齬が生じていたため、そのはざまで、 相続人たる市民の方々は困惑する状況がありました。  これを受けて、近時、最高裁(H28.12.19決定)は、預貯金さらには現金も含めて、これ らを相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとして(従来の当然分 割の考え方を改め)、遺産分割の対象とする判断(判例変更)をしました。  その結果、被相続人の預貯金については、相続開始後、遺産分割前の払戻しは、共同相 続人全員の合意がなければできないという銀行実務に従うことになったわけです。2 相続人らにとって不都合な実態  被相続人が死亡後、同人の葬儀費用、お墓の手配、相続債務の支払いや相続税の支払い などの必要から被相続人の生前有していた現金や預貯金を下ろして使う必要が生じること があります。  しかし、上記1のような銀行実務から、肝心なときに被相続人の預金口座が相続開始を 知った銀行によっていわば凍結されて、共同相続人全員の合意を証する書面などがないと 払戻しには応じられない旨の対応を示されることになります。  親族や身寄りのない親類の相続を経験したことのある方であれば身をもって体験された こともあるのではないでしょうか。3 今回の法改正(2019年7月施行) (1) 預貯金の払戻し制度の創設   遺産に属する預貯金債権のうち、一定額について、共同相続人全員によらなくとも相  続人のうちの一人による単独での払戻しを認めるものとした。   単独で払戻しができる額=相続開始時の預貯金債権の額×法定相続分   ただし、1つの金融機関から払戻しが受けられるのは150万円まで (2) 家庭裁判所の保全処分(要件の緩和)   家事事件手続法を改正(家事事件手続法200条3項の新設)し、仮払いの必要性が  あると認められる場合には、他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の仮払  いの許可を得て、特定の預貯金債権の全部又はその一部を仮に取得させる形で利用でき  ることにした。   従来は、遺産分割の保全処分として、「強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫  の危険を防止するため必要あるとき」といった保全の必要性が厳格で、保全処分を利用  するハードルが高かったのが、緩和されたことになります。   しかし、家庭裁判所の上記保全処分を利用するには、本案事件として遺産分割手続の  申立てが当該裁判所に係属していることが依然として要件とされていることからする  と、利便度は、上記(1)に劣るとは思います。なぜなら、このような要件は、弁護士など  の専門家の代理人が付いていないと利用しにくいからです。 今後、改正後の頻繁な利用が期待されるのは、専門家に依頼することなく、相続人が単独でも利用できる(1)の制度となりましょう。                                      以上     

相続法改正その2(居住用不動産贈与等)

1 改正内容の概要(2019年7月施行)  これまで、被相続人(夫)が生前に、配偶者(妻)へ居住用不動産(例えば、現在同居 しているマンションなど)を贈与していたとすると、現行法では、相続が開始して遺産分 割の場になった際、遺産としての財産の算定において、生前贈与分である上記不動産も相 続財産とみなされて、配偶者は被相続人から遺産の前渡しを受けていたもの(これを「特 別受益」と言います)と取り扱われることになります。  ところが、今回の改正では、被相続人の意思の推定規定(持ち戻しの免除の意思)を設 けて、贈与された上記居住用不動産は、相続開始時の遺産である財産には含めない意思の もとに生前贈与されたものとして、原則として遺産の前渡しを受けたもの(特別受益)と して取り扱う必要がなく、結果として、配偶者は、居住用不動産を除いた遺産を2分の1 の相続分として遺産分割に臨むことができることになります。この点では、遺贈も同様で す。  そのため、婚姻期間が20年以上の夫婦間の居住用不動産の遺贈又は贈与がされた場合 については、原則として遺産分割における配偶者の取り分が増えることになる。2 具体的事例  相続人が配偶者と子2名で、遺産が、居住用不動産(評価額4000万円)のほかその他の財産として6000万円が存在するとします。  居住用不動産は、2分の1ずつ夫婦が共有していたと考えられるとすると、夫の持分である2分の1を居住用不動産についての贈与ないし遺贈が妻にあったとします。  そうすると、夫が亡くなったとき、相続が発生し、現行法と改正法では以下のようになります。(1) 現行法    妻である配偶者の取り分    居住用不動産2000万円(被相続人(夫)の持分2分の1)+6000万円=80   00万円    このほかに、生前贈与ないし遺贈にかかる居住用不動産2000万円(妻が夫から   受けた持分2分の1)も遺産に含めて計算されることになる。    その結果、遺産総額1億円で、配偶者(妻)の相続分は2分の1ゆえ、5000万   円、そのうち、既に2000万円分の贈与ないし遺贈による遺産の前渡しがあるの   で、あと3000万円分の取り分が同人にはあることになる。   最終的には、妻の取り分は5000万円になる。(2) 改正法    妻である配偶者の取り分    生前贈与分(遺贈分も同様)である上記2000万円は、相続財産とみなす必要が   なくなる。    その結果、居住用不動産2000万円(被相続人(夫)の持分2分の1)+6000   万円=8000万円が遺産の総額となる。    配偶者(妻)の取り分としては、    8000万円の2分の1ゆえ、4000万円分の取り分が同人にはあることにな   る。    最終的には、妻の取り分は生前贈与分ないし遺贈分も含めると6000万円にな   る。3 文章だけでは、イメージしにくいかもしれません。以下の法務省のウェブを参照してみ てください。上記2の事例を視覚化して説明しています。

自己破産における自由財産(の拡張)とは

 自然人が債務超過ないし支払不能に陥り、負っている債務の免責を得ることを主目的に裁判所へ破産の申立てをする。 破産を申し立てるにも、弁護士報酬を含め一定の費用がかかることは、当事務所ホームページ(http://trout-law.jp)のトピックス(破産・民事再生)の個人破産の項で説明したとおりです。 破産を申し立てる人の中には、自己破産したときに、今ある財産がすべて失われて返済にまわる、とか、銀行などの預貯金、あるいは手持ちの現金が。返済に充てられて全く使えなくなる、といった具合に、考えてしまう方が少なくありません。 しかし、それでは、せっかく破産、債務の免責を申し立てて経済的再生を図ろうとしても、その資金的きっかけがつかめず、再び他から借金をせざるを得なくなるなどして、負債を抱えたり支払不能を繰り返すことになりかねません。 このようなことのないように、破産法は、例え自己破産の申立てをしても、債権者への返済に充てるための破産財団を構成しない財産として、「自由財産」というものを認めています(破産法34条3項)。 破産者は、この自由財産の範囲で、当該財産を自由に管理処分できることから、生活を維持したり、破産・免責後の経済生活の再生のための便宜に充てることができることになります。 以下では、どのようなものが自由財産に該当し、破産者が自由に管理処分できる自由財産の範囲はどこまで認められるのかということについて、破産裁判所の実務に即して解説します。1 自由財産の定義  自由財産とは、破産者の財産のうち、破産財団に属せず、破産者が自由に管理処分できる財産をいいます。2 本来的自由財産 (1) 99万円以下の金銭(現金)(破産法34条3項1号,民事執行法131条3号,同法施行令1条による) (2) 差押禁止財産(民事執行法上のもののほか、特別法にも規定がある)の主なもの  ・ 生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用品、畳及び建具  ・ 1か月間の生活に必要な食糧・燃料  ・ 農業・漁業従事者の農具、漁具  ・ 技術者等の業務上必要な器具類(大工道具、理容機具など)  ・ 給料・退職手当(原則4分の3相当分)、なお、中小企業、小規模企業の退職金共済は全額  ・ 民間の年金保険  ・ H3.3.31以前に効力が発生している簡易生命保険契約の保険金又は還付金請求権  ・ 各種保険給付受給権、高額療養費の支給、家族埋葬料の支給  ・ 生活保護受給権、失業等給付受給権、労働者の補償請求権、交通事故被害者の請求権  3 自由財産の拡張 (1) 預貯金   預金は、本来的な自由財産ではありませんが、現金に準じるものとして、一定の範囲で自由財産としての拡張が認められています。 (2) 年金   年金そのものは、差押禁止財産として本来的自由財産ですが、通常、隔月で指定の銀行口座などに振り込まれ、預金となります。こうして銀行預金となった後は、差押禁止財産ではなく、差押えが可能とされています。   年金振込分と合わせて99万円以下であれば自由財産の拡張の範囲内といえます。これが99万円を超える場合には、年金が破産者の今後の生活に不可欠であることを疎明して、自由財産の拡張を申し立てることになります。4 自由財産拡張の手続運用  自由財産拡張の可否(破産裁判所の判断)は、破産管財人の意見を聴いて判断されます。  裁判上の運用(例)  ア 99万円に満つるまでの現金  イ 残高が20万円以下の預貯金  ウ 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金  エ 処分見込価額が20万円以下の自動車  オ 居住用家屋の敷金債権  カ 電話加入権  キ 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権(すなわち支給見込額が160万円以下の退職金)  ク 家財道具  ケ 差押えを禁止されている動産又は債権  上記財産について、同じ項目の財産が複数ある場合は、個々の財産の評価額を合計して得た額を当該項目における評価額とする。 CF. 東京地裁では、自由財産の総額が99万円以下となる場合は比較的緩やかに判断し、99万円を超える場合は慎重に判断される傾向があります。東京地裁においては、上記20万円というような基準の数字はないようです。5 まとめ  いずれにしても、上記のような自由財産を法が予定しているのは、破産者が真に経済的再生を遂げるために必要と考えられるからです。このような定めや運用がないとすると、破産を申し立てる者は、自己の財産状況を真摯に裁判所あるいは破産管財人に申告することが期待できなくなってしまいます。債務の免責後、一文無しから経済生活を始めることが現実的ではないことは明らかです。  それゆえ、破産を申し立てるときに、相談者は、破産申立てを依頼しようとしている弁護士に対しても、上記自由財産制度及び自由財産の拡張制度を十分に理解した上で、正直に自己の財産状態を打ち明けて申立ての相談をするようにしてください。    (文責弁護士福島政幸)       

企業(事業者)民事再生について

 裁判所を介した倒産手続には、大きく分けて、破産と民事再生がある(ここでは、特別清算や会社更生などの特殊・大規模な手続を除外して考察する。また、強制力のない任意整理や裁判所における特定調停もここでは割愛する。)。破産にも、自然人個人としての破産と事業者としての破産があるように、民事再生にも、個人再生事件と一般の民事再生事件とに分けて考察するのが分かり易いと思われる。個人民事再生は、民事再生法ができてから約1年後、小規模個人再生と給与所得者個人再生の各手続が、民事再生法の改正により加わり、2001年4月から施行されています。 個人事業者向けの個人再生手続については、別の機会に解説させていただくこととし、ここでは、一般の民事再生手続について説明したいと思います。 この民事再生は、個人、法人を問わず手続の利用が可能ですが、以下の点に留意が必要です。1 民事再生手続の開始の要件 ① 支払不能に陥るおそれがあること ② 事業の継続に著しい支障をきたすことなく、弁済期にある債務を弁済できないこと2 裁判所へ民事再生を申立てる準備において必要なこと ① 裁判所への予納金納付(負債5000万円未満が200万円、5000万円以上~1億円が300万円など)、他には弁護士に依頼する弁護士費用も準備が必要 ② 申立てから再生計画案の認可までには、約半年ほどかかるので、それを見込んだ事業のための資金繰り計画が必要とされること(向こう6か月間の資金繰り予測) ③ 申立て前に当面の運転資金の用意が必要 ④ 裁判所への申立てに当たって、再生手続に乗せることのできる事案かそうではなく破産手続によらなければならない事案かを見きわめるために(すなわち、再生手続開始の要件にかかわるものとして)求められる書類資料として、収益予測による黒字かどうかということ  ア 申立日前1年間の資金繰り表及び直近3期分の貸借対照表及び損益計算書  イ 上記②のような申立日後6か月間の資金繰り表  ウ 日繰りのシュミレーション ⑤ 保全処分を併せて申し立てる必要の有無   弁済禁止、担保提供禁止の保全処分、不動産の処分禁止、借財禁止の仮処分など3 再生計画案における債務圧縮の目安(再生計画案の作成において必要となる)  一般的には、民事再生手続で、負債総額の3割以下とされ、平均的には1割程度の支払いを5年間ないし7年間くらいの範囲で分割で支払う計画案を作成するイメージ 1) 計画案で圧縮する負債支払額は、清算価値(その企業が破産した場合の換価による配当対象財産額=配当率)以上でなければならないこと 2) 弁済期間は、法文上は10年を超えない期間とされているが、上記のように標準的には5年ないし7年くらいまで 3) 負債増額に比した再生計画案における支払総額、すなわち、弁済率については、特に法文上上限があるわけではない(下限は、上記1)のとおり)が、実務上30パーセント未満、1割~2割程度で、一番多いのは1割程度の支払と思われる。 4) 最終的には、再生計画案が、債権者によって可決されるかどうかにかかっている。    総債権額の過半数、かつ、債権者数(頭数)の半数以上の賛成によって可決される必要    その上で、裁判所が選任した監督委員(破産の管財人と同様に弁護士が選任される)による意見書と併せて再生手続を担当する裁判所(通常は裁判官3人の合議体)が、再生計画案を認可することになる。4 再生計画案が認可された後について 1)再生計画案の実行   再生債務者は確定した再生計画に従って、速やかにその内容を遂行し、監督委員が再生計画の 実行を監督します。 2)再生手続の終結   再生計画の履行が完了したときまたは再生計画認可決定確定後3年間経過時に再生手続は終結する。   それまでの間は、定期的に(通常は、6か月おきくらい)監督委員による再生計画の履行監督に服することになります。そのため、定期的な報告書を裁判所と監督委員に提出し、再生手続中に、再生債務者が、重要な財産の処分及び譲受け・多額の借財・別除権の目的である財産の受戻しなどをする場合、監督委員の履行監督に服することになります。                               以上(文責 弁護士福島政幸)    

非正規雇用者の雇用管理(パート、アルバイト、契約社員中心に)

 事業者の中には、正規雇用だと労働基準法などのいろいろな規制がかかって労務管理が大変で、やれ残業代、休日手当、深夜労働だの、あるいは有給休暇とか育児休業など、さらには社会保険の加入・管理などと面倒なので、非正規雇用で従業員を賄う方が効率的だと考えている人も少なくありません。 しかし、必ずしもそうではないことを理解してもらう必要があります。以下に整理してみます。1 非正規雇用者についてのバリエーション  パートタイマー、アルバイト、契約社員、派遣社員などが考えられます。  法律上の定義としては、「短時間労働者」には、パートタイマー、アルバイトが含まれる。  【契約社員】とよく表現されますが、これは法的概念ではなく、正規社員とは異なる期間の定め  のある社員として認識されています。2 法律の規程  上記1のようにパートタイマー(以下では、アルバイトも含むものとする。「パート」と称す る)については、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」=いわゆる「パート労働法」 が存在します。  派遣社員については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法 律」が存在します。  契約社員については、上記のような単行法は存在しておらず、「労働契約法」という労働基準法 と並ぶいわゆる労働法の基本法の中で、「期間の定めのある労働契約」として定義・規定されてい ます(労働契約法第四章)。3 非正規雇用者の労務管理についての考え方 (1) 契約形態の整理   非正規雇用者にも上記のようにいろいろなバリエーションがあり、その法的規制は錯綜気味で  す。   整理してみると、① 正規労働者のようにフルタイムで働く人(とそうではない人)           ② 正規労働者のように期間の定めのない契約である人(とない人)  といった具合に、① 働く時間を軸に、②のように雇用期間を軸に、労働者の種類を分類整理で きると思います。   ①ではパート(バイト)が除かれ、有期契約社員とか派遣労働者が対象となると思われます。   ②では、有期契約社員は除かれ、パートには、契約期間の定めのある人とない人がいて、後者  が対象になることになります。 (2) 労働基本法(労働契約法、労働基準法など)の適用   基本的には、正規雇用者だけではなく、非正規雇用者にも労働基本法の適用(ここでは紙面に限りがあるので、労働安全衛生については下記5(2)の定期健診以外は割愛します。)はあるのだと理解しておくことが肝要です。そして、例外・除外あるいは特別規定が非正規雇用に及ぶと。具体的には、以下のとおりです。  a 賃金管理面    最低賃金法による時間当たりの最低賃金(時間単価)は、非正規雇用者にも適用されます。    賞与、昇給などは、非正規雇用には、任意適用となります。    諸手当関係;近時の判例などからは、正規雇用者と非正規雇用者との間で、差を設けることには慎重さと注意が必要です。今日日(きょうび)の同一労働同一賃金の法規制の及ぶことが考えられます。別の記事にある最高裁判例(ハマキョウレックス事件及び長澤運輸事件)を参照してください。     b 労働時間管理面    労基法にある時間外労働、休日労働及び深夜勤務について    1日8時間、1週40時間を超えた勤務、午後10時以降翌日午前5時までの勤務については、いうまでもなく、非正規雇用者にも適用され、法規に従った時間外手当を支給しなければなりません。ただ、パートのような短時間労働者の場合、契約所定労働時間(例えば、5時間)を超えて勤務した場合でも、8時間以内であれば、割増賃金(1.25倍)を支払う必要はなく(週40時間以内も同様)、通常の時間単価を払えば済むことになります。アルバイトで、コンビニの深夜勤務のみのような場合、雇用契約内容にもよりますが、日勤の基準単価がある場合には、深夜勤務割増単価を設定すべきですし、日勤がない場合にも、他のアルバイト従業員で日勤の基準単価がある場合は、やはりそれに割増(1.25倍)した単価設定することが望ましいといえます。    休憩について    基本的には労基法34条のとおり。1日6時間超えて勤務なら45分、8時間超えなら1時間の休憩を設ける必要があります。    逆に、短時間労働者の場合、厳密には、上記規制にかからないとしても、他の従業員と同様に昼休みなどは同様に設けることが望ましい。  c 年次有給休暇(労働基準法39条)    有期の契約社員であっても、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上勤務した人には、正規従業員と同様な年休付与義務があります。    パート(バイト)の従業員への年休付与について    共通条件;決められた労働日数の8割以上勤務+6か月間継続勤務 は上記と同じ    1)週5日又は週30時間以上なら正規従業員と同様の年休付与日数義務が当てはまる。    2)それ以外の週5日未満、週30時間未満の場合 下表のとおり継続勤務年数が     6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上       週5日:年217日以上   10     11   12   14   16   18   20  日  4日: 169~216日     7       8     9   10    12   13   15  3日: 121~168日    5             6             6            8             9           10           11      2日:   73~120日         3             4             4            5             6             6             7      1日:  48~  72日    1              2             2            2             3             3             3  d 解雇、解雇予告手当    期間の定めのない社員は、労契法16条による解雇制限(正規社員とほぼ同様)    それゆえ、パート従業員であっても、期間のさだめなく契約しているときには、解雇権濫用法理に服することになる。    有期契約社員は、期間の定めによるが、契約期間中の解雇は、労契法17条で、「やむを得ない事由」が要求される。また、同法18条による無期労働契約への転換、同法19条による更新の繰り返しの規制(日立メディコ、東芝柳井事件の最高裁判例を明文化したもの)に服する。    パート・バイトであっても、解雇は30日前に、そうでない場合は、30日分の解雇予告手当の支給必要となります(労基法20条)。 (3) 就業規則について   パートを常時10人以上雇っている事業者は、パートに適用される就業規則(「短時間労働者就業規則」)を作成する必要がある(パート労働法の下位規範であるパート指針から)。   企業によっては、期間の定めある契約社員について「有期従業員就業規則」を制定し、そこで、上記労契法17~19条に関係する規律を整理して規程ているところもあり、それが望ましいと思います。 (4) 育児休暇(育児休業給付)・介護休暇について   いわゆる「育児・介護休業法」(「育児休業、介護休業等・・労働者の福祉に関する法律」)が存在します。   この法律は、パートなどの短時間労働者、契約社員などの有期労働者の区別なく、「一定範囲期間雇用者」にも適用対象になるとされています。   条件としては、雇用期間が1年以上、子が1歳に達する日を超えて引続き雇用されること         (子が1歳に達する日から1年以内に期間満了、更新されないときは除く)   半年契約や3か月契約であっても、契約更新により上記に当てはまれば同様   介護休暇の場合、対象者:配偶者、父母・子、配偶者の父母           日数 :93日を限度とする。   日々雇用される者、期間の定めある者、パートで期間の定めのない者や契約更新繰り返した者であっても、雇用期間1年以上、休業予定日から93日超えて引続き雇用される場合は対象となります。(ただし、93日経過日から1年経過する日までに契約更新ないときは除く)4 社会保険、雇用保険について (1) 健康保険と厚生年金保険については、パートも下記条件を満たせば加入が可能 1) 全ての法人事務所、従業員5人以上の個人事務所(ただし、農、畜、水、林業及びサービス業を除く) 2) 契約期間2か月以上かつフルタイムの4分の3時間以上勤務 (2) 雇用保険   雇用保険には、a 一般被保険者とb 短時間労働被保険者の2種類がある。   週30時間以上のパートであれば、aの一般被保険者となる。   週30時間未満であっても、1週間に20時間以上連続して1年以上雇用見込なら、bの短時間労働被保険者となる。   雇用保険の給付条件:   a 一般被保険者の場合、離職日前1年間に14日以上は働いた月が6か月以上かつ雇用保険加入期間6か月以上   b 短時間労働被保険者の場合、離職日前2年間に11日以上働いた月が12か月以上かつ雇用保険加入期間12か月以上5 その他 (1) 正社員以外の深夜労働(妊婦が時間外・休日・深夜労働を禁止されていることに関連して)   深夜労働の免除(労基法66条)   育児・介護をする者についても、一定の場合免除されることがある。小学校入学前の子を育てている場合とか、要介護家族がいる場合   深夜労働の免除を得るには、免除開始日1か月前に申請する。1回につき、1か月以上6か月以内で、回数は制限がない。 (2) 労災   労働安全衛生法66条で定期健康診断の事業者への義務付け   1年に1回、有害業務従事者には、半年に1回   ① 常時雇用されているパート(期間の定めない者、期間定めあっても更新1年以上あるいはその予定の者)   ② フルタイム社員の1週間労働時間の4分の3以上勤務  の条件を満たしていれば、健診対象となる。                                         以 上           

日本郵便の期間雇用社員(満65歳)の契約更新

最高裁平成30年9月14日の判決(原審:東京高裁)1 事案の概要  日本郵便(被上告人)は、有期雇用社員就業規則(10条2項)で、「会社の都合による特別の場合のほかは、満65歳に達した日以後における最初の雇用契約期間の満了の日が到来したときは、それ以後、雇用契約を更新しない。」(本件上限条項)と定めている。  日本郵便においては、正社員の定年は60歳とし、定年退職後に継続して就労する者について、高齢再雇用社員就業規則に基づき、雇用期間を1年として再雇用(高齢再雇用社員)し、これを更新することとしている。同規則は、高齢再雇用社員について、満65歳に達した日以後の最初の3月31日が到来したときには有期労働契約の更新を行わない旨定めている。  原審(東京高裁)の判断  日本郵政における期間雇用社員の契約更新手続は形骸化しており、実質的に無期労働契約と同視し得る状態。この点では、解雇事由がなく、期間満了による雇止め(本件雇止め)は無効。  本件上限条項は、旧公社当時の労働条件変更につき合理性があり、これによると、本件雇止めは適法(有効)。2 最高裁判断の要点 (1) 原審は、本件上限条項を就業規則の不利益変更として捉えているが、旧公社当時の労働条件は日本郵便には引き継がれておらず、同条項は旧公社当時の労働条件の不利益変更に当たらない。 (2) 本件上限条項は、有効に労働契約法7条による労働契約の内容になっており、各有期労働契約は、本件各雇止めの時点において、各有期労働契約者において期間満了後もその雇用関係が係属されるものとする期待に合理的理由がなく、実質的に無期労働契約と同視し得る状態にあったということはできない。 (3) 結論として、本件各雇止めは適法であり、本件各有期労働契約は期間満了により終了した。3 解説  本件最高裁判決は、結論としては、本件各雇止めは適法かつ有効であるとして、原審同様に、各有期労働契約による従業員からの労働契約上の地位確認及び雇止め後の賃金の支払い等の請求を棄却したが、その結論を導出する過程における判断において、原審には、法令の解釈適用を誤った違法があるとした。  ポイントは、原審は、本件雇止めが解雇に関する法理の類推によれば無効になるとし、本件上限条項に基づく更新拒否の適否の問題は、解雇に関する法理の類推により本件各雇止めが無効になるか否かとは別の契約終了事由に関する問題として捉えるべきとしているが、最高裁は、正社員が定年に達したことが無期労働契約の終了事由になるのとは異なり、上告人ら(有期雇用者)が本件各有期労働契約の期間満了時において満65歳に達していることは、本件各雇止めの理由にすぎず、本件各有期労働契約の独立の終了事由には当たらないとしている。       

ユニオンから団交(団体交渉)の申入れがあったら

 事業者に宛てて、合同労組である企業外組合(いわゆるユニオン)から「解雇について」とか「未払賃金について」など、団体交渉の申入れが文書でくることに出くわした場合について、事業者がどう対処すべきかについて、以下に若干の解説をしておきます。1 まず、申入れのあったユニオンが、労働組合法上の労組であるかどうか (1) 労働組合性   事業者は、正規の労組ではないところに、団交に応じる義務はありません。逆に、労働組合法  上の労組に対しては、事業者は、誠実交渉義務を負うことになります。  このような労組への団交を拒否すると、事業者は、労働組合法の不当労働行為(労組法7条)の 責任を問われることになってしまいます。さらに、そのような対応は、民法上は不法行為を構成す る可能性もあります。  ですから、上記のような義務を負うかどうかの前提として、正式な労働組合かどうかを見極める 必要があります。 (2) 申入れのあったユニオンの性質   どのような組合か。代表者はどのような人物(経歴、有資格)か。2 ユニオンへの返答書面(応答)の前提 (1) ユニオンが要求してきている団交事項について  ア まず、誰についての団交か。現に在籍している従業員か、それとも会社を退職した元従業員   についてか。その(元)従業員は、正規雇用者か、非正規雇用者か。非正規雇用者であれば、   有期従業員、継続雇用者、アルバイト・パート従業員、派遣労働者などのうちのいずれの労働   者か。    要するに、自社に関連する(元)従業員でなければ、団交に応じる義務は生じてこないはず   です。(元)従業員でも、非正規雇用で、例えば、派遣労働者の場合、団交事項が派遣先であ   る自社の勤務条件(労働条件)に関する事項かどうか、派遣元で給与計算支給をしている場合   で賃金事項が対象であれば、派遣先である自社が団体交渉の対象ではないことも考えられる。  イ 団交事項    解雇なら解雇事由、解雇の正当性をリサーチしておく。    残業代請求ならタイムカード等の対象となる従業員の勤休管理資料の検索    退職金なら退職金支給資料    共通するものとして、かつ、団交時に開示を求めてくる情報との関係で、就業規則、その一   部である賃金規程、退職金規程など  ウ 団交事項について、団交への出席者で打合せをしておく必要 (2) 要求事項について、どこまで応じることが可能か(検討・吟味) (3) 団交場所の選定 (4) 交渉時間 (5) 出席者(会社側、組合側)3 返答書面の起案4 団交期日(回数を含めて)・日程5 合意局面あるいは交渉決裂局面(不当労働行為にならない対応) 以上のように、対応には、経験とノウハウがある程度必要であり、事業者だけで交渉に当たる場合には、団交を何度も経験実施してきているユニオン側のイニシアチブで団交が進められてしまう 懸念があります。 団交の申し入れがあったら、労働関係に明るい弁護士(事務所)に相談するのが安心かつ確実な対応といえましょう。 当トラウト法律事務所は、このような労働問題を専門に扱っている弁護士事務所です。 どうか気軽にご相談ください。貴社の事務所への出張相談にも応じております。   以 上     

長澤運輸事件について

【事件の概要】及び【訴訟経過】 長澤運輸(運送会社)を定年退職した後に同社との間で期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結して就労している労働者ら(車両の乗務員)が、会社が無期契約労働者と有期契約労働者との間に労働条件の差異を設けているのは無効であり、労働者らには一般の就業規則が適用されると主張して同就業規則を受ける地位の確認と差額賃金の支払を求めた事案である。 労働者らの請求をより詳細に整理すると、① 主位的に,当該不合理な労働条件の定めは労働契約法20条により無効であり,被控訴人らには 無期契約労働者に関する就業規則等の規定が適用されることになるとして,控訴人に対し,当該就 業規則等の規定が適用される労働契約上の地位に在ることの確認を求めるとともに,その労働契約 に基づき,当該就業規則等の規定により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額及び これに対する各支払期日の翌日以降支払済みまで商事法定利率年6パーセントの割合による遅延損 害金の支払を求め,② 予備的に,控訴人が上記労働条件の相違を生じるような嘱託社員就業規則を定め,被控訴人らと の間で有期労働契約(嘱託社員労働契約)を締結し,当該就業規則の規定を適用して,本来支払う べき賃金を支払わなかったことは,労働契約法20条に違反するとともに公序良俗に反して違法で あるとして,控訴人に対し,民法709条に基づき,その差額に相当する額の損害賠償金及びこれ に対する各賃金の支払期日以降の民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求め た事案となる。 第1審の東京地方裁判所(合議体)は、被告会社の原告労働者らへの処遇は、無期契約労働者との相違に合理性がなく、労働契約法20条に違反するとして、原告である労働者らの請求(主位的請求部分)を全部認容した。                  この判決に対して会社が控訴した。 第2審の東京高等裁判所は、本件の労働条件の相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理とはいえず、同条に違反しないと判断するとともに、控訴人が被控訴人らを定年前と同一の職務に従事させながら賃金額を20ないし24%程度切り下げたことは社会的に相当性を欠くとはいえないと判断し、原判決を取り消して被控訴人らの各請求(主位的請求及び予備的請求)を棄却した。       この判決に対して労働者らが上告した。【最高裁の判断】 (1) 労働者ら嘱託乗務員である有期契約労働者の労働条件と正社員である無期契約労働者の労働条  件の相違は、期間の定めがあることによるものであることを認定し、労働契約法20条が適用さ  れることを前提としている。 (2) 会社における嘱託乗務員及び正社員が、その職務内容及び変更範囲において相違はないと認定 (3) 労契法20条の労働条件の相違が不合理かどうか判断する事情として、有期契約労働者が定年  退職後に再雇用された者であることは、同条の「その他の事情」として考慮される。 (4) 労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金  の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解  するのが相当である。 (5) 本件における諸事情を総合考慮すると,嘱託乗務員と正社員との職務内容及び変更範囲が同一  であるといった事情を踏まえても,正社員に対して能率給及び職務給を支給する一方で,嘱託乗  務員に対して能率給及び職務給を支給せずに歩合給を支給するという労働条件の相違は,不合理  であると評価することができるものとはいえないから,労働契約法20条にいう不合理と認めら  れるものに当たらないと解するのが相当である。 (6) 正社員に精勤手当を支給し、嘱託乗務員に支給しないのは不合理、そして、この精勤手当も時  間外労働の割増賃金の基礎賃金に含めた計算をした時間外手当を支給しないと不合理 (7) その他の賃金項目(住宅手当、家族手当、役付手当、賞与(不支給))については、相違は不  合理とは 認められない。【解説】(最高裁判断で実務上特に重要と思われる点)1 有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは、労働契約法20条の「その他の事 情」で考慮されること2 労働条件の相違が不合理か否かは、各賃金項目の趣旨から個別に判断されること3 正社員(無期契約労働者)に能率給、職務給を支給する一方、嘱託乗務員(有期契約労働者)に それらを支給せず歩合給を支給する労働条件の相違は、労契法20条にいう不合理と認められるも のに当たらないこと4 精勤手当(これを基礎賃金に含めて時間外労働の割増賃金計算している場合には時間外手当も) の不支給は、労契法20条違反でも、同条の効力により無期契約労働者の労働条件と同一のものに なるものではないと解するのが相当。それゆえ、主位的請求には理由がない。5 上記4につき、予備的請求である不法行為を理由とする損害賠償(差額賃金分)は認容されるべ き(原審に差し戻して審理を尽くすべき)とした。

ハマキョウレックス事件について

平成30年6月1日、最高裁が上記事件についての上告審判断を示した。【事案】 期間の定めのある有期労働契約者(契約社員・トラック運転手)(被上告人)と期間の定めのない無期労働契約者との労働条件のうち、無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当、賞与、定期昇給及び退職金に相違があることは労働契約法20条に違反しているとして、(1) 労働条件につき。正社員(無期労働契約者)と同一の権利を有する地位にあることの確認、(2) 主位的に、無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当及び通勤手当(以下「本件諸 手当」)についてのH21.10.1~H27.11.30までの間のこれら手当についての差額の支払請求、(3) 予備的に、不法行為に基づき、上記差額に相当する額の損害賠償請求をした。【裁判経過】 原審である大阪高等裁判所は、無事故手当(月1万円)、作業手当(月1~2万円)、給食手当(月3500円)、通勤手当(正社員と契約社員間に月2000円の支給額に差があったが後に解消)、家族手当については、契約社員には支給規定が存在しないことを前提に、(1)の確認請求及び(2)本件賃金差額請求の全部並びに(3)本件損害賠償請求のうち住宅手当及び皆勤手当に係る部分をいずれも棄却し、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当の正社員との差額分について損害賠償請求を認容した。 大阪高裁の判断理由は、(1)及び(2)については、契約社員である被上告人と正社員との間で本件賃金等に相違があることが労契法20条に違反するとしても、被上告人の労働条件が正社員と同一になるものではないから、いずれも理由がない。(3)については、被上告人と正社員との間の住宅手当及び皆勤手当にかかる相違は不合理と認められるに当たらないから、労契法20条に違反しないとしている。【今回の最高裁判断】第1 契約社員である附帯上告人(被上告人)の請求(主張)について 1 被上告人は、原審で棄却された部分を附帯上告している。 2 本判決は、基本的には、不法行為以外の上記(1)、(2)についての大阪高裁の判断を維持し、(3)  の住居手当も、正社員と契約社員では就業場所変更の予定、転居に伴う配転予定の有無に差があ  ることから正社員にのみ住宅手当を支給していることは不合理とは言えないとして、原審判断を  維持したが、皆勤手当については、同じトラック運転手でありながら、正社員と契約社員で職務  の内容に差が生ずるものではないことを主たる理由に、正社員にのみ皆勤手当を支給するのは不  合理であるとして、原審判断を破棄してこの部分について被上告人が皆勤手当の支給要件を満た  しているか否か等について更に審理を尽くさせるために原審差し戻しを命じた。第2 上告人の請求(主張)について 1 上告人は、原審が、契約社員と正社員の無事故手当、作業手当、給食手当及び通勤手当に係る  相違が不合理で、労契法20条適用された平成25年4月1日以降の相違は不法行為に当たるとし  て損害賠償請求を認容したものを不服として上告している。 2 本判決は、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当の契約社員と正社員との相違はいずれ  も不合理であること、労契法20条に違反すること、不法行為に当たることから、差額相当額の  損害賠償請求を認容した原審判断は正当であるとして、上告を棄却した。【解説】(最高裁判断で実務上特に重要と思われる点)1 有期労働者と無期労働者との労働条件の相違が労契法20条に違反するとしても、同条の効力に より有期労働者の労働条件が無期労働者のそれと同一のものとなるものではないこと2 上記1を理由として、被上告人が本件賃金等に関し、正社員と同一の権利を有する地位にあるこ との確認請求を棄却していること3 同様に、同一の権利を有する地位にあることを前提とした被上告人の本件差額賃金請求も棄却し ていること4 各種手当のうち、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当及び皆勤手当について、契約社員 と正社員との間に相違を設けることは不合理であり、労契法20条に違反するものであること5 上記4を理由として、不法行為を構成し、その差額(ただし、H25.4.1以降分のみ)について損害 賠償請求が成り立つこと     

相続の放棄についてのご相談(裁判所への手続代理など)

 被相続人が亡くなると相続が発生し、特に遺言がなければ相続人各人が法定相続分による相続をすることになります。その際、相続人は、被相続人の積極財産だけではなく、債務などの消極財産も相続することになります。 被相続人に多少なりとも財産がある場合でも、自分は、被相続人との縁故も深くなく、生前の付合いもなかったことなどから相続を放棄する場合、あるいは、被相続人と近しい関係で、例えば自分の親であるところの被相続人が、見るべき財産は特に有せず借金だけが相続の対象となっていたり、積極財産もある程度有しているものの、トータルとしては、借金などの負債の方が多い場合などには、相続人は、被相続人の遺産について相続の放棄を考えることになります。 相続の放棄の手続には、被相続人が亡くなった地の家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出して行う必要があるとともに、手続に必要な戸籍等の書類を取り寄せて、必要な申述申立書等に必要事項を記入して提出するなど一定の法的知識と負担が伴います。 普段、仕事に勤務されているなど多忙な中でのこのような手続の履践には負担と不安を感じる方が少なくありません。 当トラウト法律事務所は、弁護士としての代理権を行使して、相続の放棄を希望される依頼者のために、書類の取り寄せから、申立をする管轄裁判所の調査・特定、さらには放棄の申述申立てをした家庭裁判所からの書類による問い合わせにも、依頼者を代理してすべて対応いたします。 手続に要する弁護士報酬も、ご依頼者様一人当たり一律10万円(及び消費税別途8000円)でお受けいたします。 複数人の場合には、別途ご相談ください。事案に応じてリーズナブルに対応いたします。

交通事故事件についてのご相談(受付)

交通事故事件を相談したい方へ1 ご相談に当たって
  持参可能であれば相談時に持参願いたい資料:
 ・交通事故証明書、事故関係の資料(警察作成書面、現場写真などあれば)
 ・負傷関係の診断書、診療関係書面
 ・物損関係の書面(修理見積書など)
 ・交渉経過がある場合は、保険会社からの通知、損害計算書など
2 事件処理の選択肢
 ・示談交渉:合意期待できる事案かどうか
 ・調停(民事調停):一般的な調停になじむ事案かどうか
 ・ADR(日弁連交通事故相談センター、㈶交通事故紛争処理センター):弁護士があっせん担当者  として示談をあっせん
 ・自賠責保険の被害者請求:自賠責保険法で、加害者が契約している保険会社に対して自賠責保険  金を請求できる権利を認めている。被害者に7割以上の過失がなければ保険金は減額されないの  で過失相殺事案に有効な手段
 ・訴訟:上記以外で解決図る必要ある場合
3 費用について
 ・弁護士報酬(訴訟によるか、示談交渉、調停手続利用するかなど事件類型によって異なりますの  で、ご相談ください。)
 ・加入保険に弁護士特約が付いていれば、保険金の支払いで、弁護士費用や裁判費用を保険金支払  上限金額まではまかなえます。その場合の保険会社とのやり取りも承ります。
4 書類の調達方法案内
 ・交通事故証明書:自動車安全運転センターから
 ・刑事記録:検察庁から
 ・物損事故証明書:警察から
  これらの資料も手元になければ、当職において委任を受けて調達します。
5 人身損害の場合
 ・医療記録取寄せ、後遺障害の診断書等について (1)  自賠責保険の利用  ・被害者請求  ・仮渡金制度の利用  ・後遺障害についての認定を経た後遺障害診断書   これら利用資源についてアドバイスします。 (2) 無保険車による事故被害や加害者特定ができない事故の場合  ・政府保障事業による救済を検討・アドバイスします。 (3) 社会保険(労災、健保)、人身傷害補償条項の利用  ・事故により被った怪我の治療費用に有効です。利用方法をアドバイスします。
6 物損事故の場合
 ・損害に関係する証拠資料の収集 (1)  加害者任意保険の利用 (2)  被害者車両保険の利用  上記いずれの利用によるべきかなどご相談の上、対応いたします。