第三者からの情報取得手続(債権執行編)

 2020年(令和2年)4月から、施行された新しい制度として、裁判所を通じて、債務者の財産状況を調査・把握することができるようになりました。


 不動産に関する情報取得は、施行日未定となっていますので、以下では、預貯金債権の情報を金融機関から入手する場合について解説します。

1 施行期日(申立てができるのはいつからか)

  令和2年4月1日以降

2 申立手数料(収入印紙)

  1個の申立てにつき1,000円(債権者が1名であれば1個の申立てです。)

  第三債務者の数は、手数料に影響しない。

3 その他用意するもの

 (1) 郵便で申し立てる場合

   郵券(84円×1、10円×1)の同封(裁判所からの保管金提出書等の送付のため)

 (2) 保管金提出書が届いたら、予納金として

   預貯金の場合、1件5,000円(第三者が1名増えるごとに4,000円ずつ足す)

  注)この「予納金」には、手続郵券費用のほか、情報提供する金融機関(第三者)への
   報酬(1箇所当たり2,000円)が含まれる。

 (3) レターパック

   金融機関(第三者)の数のレターパック(レターパックライト可)の提出

   「お届け先」に申立人の住所・氏名を記入のこと

4 添付書類

 (1) 法人(債務者、第三債務者)の場合については、商業登記事項証明書(1か月以内の
  もの)

 (2) 債権者の弁護士代理人が申請する場合、「委任状」

 (3) 判決正本及び送達証明書

 (4) 申立てと同時に上記(3)の書類の「還付申請」をしておくこと

   後の強制執行(債権差押え)に必要な書類ゆえ。

5 解説

  従前の債権者(判決正本とかの債務名義を有する者)が、債務者の預貯金債権(銀行等
 への預金)を差押えるためには、銀行名のほか当該銀行の支店名まで特定していないと、
 強制執行申立てが却下されてしまる実務上の取扱いであった。

  しかし、債権者が債務者の財産状況を把握していたり知っているケースは、そう多くな
 い。

  せっかく、訴訟などで金銭債権の勝訴判決を取得しても、任意に相手方がその債務を履
 行しないとき、債権者は、強制執行によらざるを得ないものの、債務者の預貯金債権に対
 する債権執行の場合には上記のような隘路があった。

  このような隘路により訴訟などで努力して得た判決などの債務名義が絵にかいた餅にな
 ってしまうと、国民、市民による裁判手続の利用が進まないことになる不都合が生じる。

  そのような債権者の保護の施策として、今回の「第三者からの情報取得手続」の制度が
 法的に手当されたものといえます。

  これによって、万全とはいえませんが、従来よりは、債務者の財産の把握が容易にな
 り、判決などによって勝ち得た債権の回収の実効性が見込めることになりました。

                            (文責 弁護士 福島政幸)



トラウト法律事務所

民事全般を扱っております。 特に労働、相続を得意としております。 何かありましたらお気軽にご相談下さい。

0コメント

  • 1000 / 1000